花の旅・花の寺 全国各地の花めぐり

四季折々に美しい表情を見せる日本。 全国各地、花の咲く寺を巡って日本を再発見しませんか。

不埒者の寺社めぐり 大阪天満宮

 大川に面したS氏の事務所に打ち合わせに行った。

大川べり一帯は通り抜けで有名な造幣局もある花見のメッカで、

その時期、三階にあるS氏の事務所からは一面の桜景色が見渡せる。

口を開けば明日潰れる今日潰れるだの、給料が払えない税金が払えないだのと、

ここ数年青息吐息の経営に愚痴をこぼし続けるS氏には、

今年の桜、少しは慰めになるだろうか。

しかし潰れる潰れると聞き続けて早三年。

言うわりに一向に潰れないのだから、

八の字眉毛でこぼす裏には、けっこうしたたかな顔が隠れているのだろう。

桜が咲いたら、案外、昼間っぱらから花見酒でも飲ってるのではなかろうか。


 打ち合わせと愚痴聞きを終えての帰路。いつもなら、全長2.6キロ、

日本一長い天神橋筋商店街をひやかしながら帰るのだけど、

天気がいいので商店街から西に一本はずれた道を行く。

道の突き当たりは天満の天神さん。正式名称「大阪天満宮

日本三大祭の天神祭で有名な天神さんである。

三大祭と聞くと、さぞや立派な神社と思われようが、

私が見慣れたせいもあるのか、なんてことない町中の小さい神社だ。

神社そのものは小さいが、2.6キロの天神橋筋商店街門前町

見立てれば日本最大の門前町を持つ神社とも言える。

何度も来ていて今さら見るものもないのだけど、

表門にピンクののぼりが立っていたので、寄ってみることにした。

 境内は近在の老人と祈願する若い女性が一人、

素通りして商店街へ向かう人などなどで、平日昼前ののんびりムード。

ピンクののぼりには「てんま天神梅まつり」とあった。

そいういえば、昨日、家の近所の梅が突然咲いていたか。

本堂右前の梅も、何分咲きというのか知らんが、そこそこに咲き、

その上の横断幕に大盆梅展会場とある。

例年の催しなのだな。

生憎、私は花より団子系男子、金を払ってまで花を見る趣味は無いので

会場には入らない。梅よりも本堂裏手の屋根を見上げては、

お、ここの垂木は放射状だ、なんて訳の分からん感心をしている方が性に合っている。

その本堂裏手を左に行けば商店街。やや左前方の鳥居をぬければ寄席の「繁昌亭」

直進すれば細い道を抜けた先に亀の池とお休み処「星合茶寮」がある。

ここは「すべらんうどん」というのが売りらしい。受験生が食いに来るのだろうか。

なんせここは菅公さんだから。

(ちなみに「すべらんうどん」が気になったので調べると、
麺に切れ目が入ってて箸からすべらないうどんだと…
思わずそれだけかい!と突っ込んでしまった)


三方どの方向も二分も歩けば境内の外。それくらい小ぶりの神社だけど、

寄席あり長大な門前町(商店街)ありの環境は、

気軽なチョイ参拝にはうってつけである。


 星合茶寮周辺にも、むろん境内にも梅は咲いているので、

「てんま天神梅まつり」終了後も数日は楽しめるだろう。

それよりなにより、もうすぐ大川の桜が咲く。

大量の屋台も出る。

花より団子の人もその逆の人も花も団子もの人も存分に楽しめる。

桜が咲けば、昼間っぱらから花見酒でも飲りにいこうかと思っている。


ばったりS氏と会ったりして。


(kenmin)