小さな花旅 365 フヨウ fum 23
優雅な花姿ですね。
ボタンやシャクヤクほど目立つ花じゃないけど、そこはかとなく気品というか、風格が漂う花です。残暑にもめげず、太陽に向かって、朝開いて夕方しぼむ一日花。
ヒグラシの声としぼみはじめたフヨウ。晩夏の田舎の夕暮れの、ちょっと懐かしい光景です。
保育園に通っていた頃、ふよーさんという、背の高い物静かな印象の女の子がいました。おてんばなわたくしとはあまりご縁がなかったのですが、子どもごころに名前にひかれて、ふよーさん、ふよーさんと呼んでいました。
小学校六年生の時に、ふよーさんは、芙蓉さんで、花の名前から付けられたのよ。と、担任の先生から聞かされました。
そうだったんだ。実際に花を目の当たりにして、大きな花姿に驚きましたね〜。何しろ私はちびっこでしたから。
こんな花があることも知らなかったし、名前を付けたご両親ってどんな人なんだろう。彼女はきっとご両親に愛されているんだろうなぁ。なんて思いを馳せて…。
祖母に育てられた私は、自分の名前を付けてくれた人がそばにいない現実に、きっと戸惑っていたのかもしれません。
彼女が、私たちが通っていた保育園の先生になったと、友人のせっちょから聞いたのは、ずっと大人になってからでした。
この花を見ると思い出します。