花の旅・花の寺 全国各地の花めぐり

四季折々に美しい表情を見せる日本。 全国各地、花の咲く寺を巡って日本を再発見しませんか。

小さな花旅 365 ムクゲ fum 2

暑い一日です。

ムクゲが元気に咲いています。
見つけたのは、市ヶ谷駅近く。

この白に紅色の輪が入っているのを、底紅(ソコベニ)といいます。

千利休の孫の千宗旦が好んだことから、宗旦(ソウタン)ムクゲと呼ばれ、茶席で見かける花のひとつ。

教えていただいたのは、かつて私の茶道の師だった南一興先生です。

京大農学部そばの町屋に住まいして、お茶とお花を教えていらっしゃいました。
学生時代にお稽古に通ったのですが、35歳くらいまで15年間師事していました。

女性一人で、毅然と生きてらっしゃった姿が印象的です。祖母に育てられた私は、当時、70歳を過ぎた南先生も
人生の師だったのです。

暑い京の夏に、シュンシュンと湯のたぎる音、備前の一輪挿しに底紅の宗旦ムクゲ、凛とした心もちのひとときは、
今思うと贅沢な時間だったのですね。

部屋に飾って、お薄を一服いただきたくなりました。





藤井文子